肌の土台をつくる

ケラチンのハンモック構造とは|水分を抱えこむ仕組みとそれを崩す成分の話

執筆者 : 開発者松本千賀子

「化粧水をたっぷりつけているのに、すぐ乾燥してしまう」

「保湿しても水分が続かない。肌の中に届いていない気がする」

「高い化粧水に変えても、乾燥が改善しない」

こうした悩みの根本にあるのは、化粧水の質ではなく肌が水分を抱え込めない状態になっていることです。その鍵を握るのが、ケラチンが形成する「ハンモック構造」です。今回は、ケラチンのハンモック構造とは何か、なぜ崩れるのか、そして崩す成分は何かを詳しく解説します。

ケラチンのハンモック構造とは何か

前回の記事「ケラチンとは何か」でお伝えしたように、ケラチンは角質細胞の内側を構成する繊維状のタンパク質です。このケラチン繊維が細胞の内側で網目状に張り巡らされた構造を、ハンモック構造と呼びます。

ハンモックをイメージしてください。ロープが網目状に編まれることで、人が横たわっても体が落ちずに支えられます。ケラチンの網目も同じように、水分をその網目の中に受け止め、保持し続けます。

角質層に届いた水分が「すぐに蒸発せず、肌の中に留まり続ける」のは、このハンモック構造が正常に機能しているからです。

ハンモック構造が水分を保持するしくみ

ケラチン繊維の網目は、水分子と結びつく性質を持っています。届いた水分がケラチンの網目に絡み取られることで、角質層の中に水分が保持されます。

この仕組みがあるからこそ、肌は外からうるおいを受け取り、そのうるおいを一定時間維持することができます。化粧水の「浸透感」や「しっとり感が続く」という感覚は、ケラチンのハンモック構造が正常に機能しているサインです。

ハンモック構造と骨格機能の違い

前回の記事でお伝えしたように、ケラチンには「骨格としての強度」と「ハンモックとしての水分保持」という2つの役割があります。この2つは密接に関連していますが、それぞれ別の働きです。

  • 骨格機能:角質細胞の形と強度を保ち、外部の刺激からバリアを守る
  • ハンモック機能:細胞の内側で水分を受け止め、肌のうるおいを保持する

ケラチンが弱まると、この2つの機能が同時に低下します。バリアが崩れて刺激が入りやすくなる(骨格機能の低下)と同時に、水分が保持できなくなる(ハンモック機能の低下)。これが乾燥と過敏肌が同時に起きやすい理由です。

ハンモック構造を支えるジスルフィド結合

ケラチンのハンモック構造が正常に機能するためには、ケラチン繊維どうしをつなぎとめる結合が必要です。その役割を担っているのが「ジスルフィド結合」です。

ジスルフィド結合とは、ケラチンを構成するアミノ酸「システイン」に含まれる硫黄原子どうしが結びついてできる化学結合です。この結合がケラチン繊維を強くしなやかに保ち、ハンモック構造の形と強度を維持しています。

ジスルフィド結合がハンモックの「結び目」になる

ハンモックのロープが交差するところには、ほどけないように結び目が作られています。ケラチン繊維の網目においても、ジスルフィド結合がその「結び目」の役割を果たしています。

結び目がしっかりしているとき、ハンモックは安定して水分を受け止め続けます。しかし結び目がほどけると、網目がゆるみ、抱え込んでいた水分が逃げていきます。

ジスルフィド結合が弱まると、ケラチンの網目がゆるみ、水分保持力が低下します。これが「化粧水をつけてもすぐ乾燥する」という状態の、細胞レベルでの正体です。

ハンモック構造を崩す成分と原因

日常のスキンケアや生活習慣の中に、ケラチンのハンモック構造を崩す原因が潜んでいます。代表的なものを整理します。

① エタノール(アルコール)

多くの化粧水・美容液・乳液に含まれるエタノールは、浸透を助ける成分として広く使われています。しかしエタノールはタンパク質を変性させる作用があり、ケラチン繊維に繰り返し触れることでジスルフィド結合に負担をかけます。

「浸透する感じはするのに、乾燥が改善しない」という状態は、エタノールによる一時的な浸透と、同時に起きているケラチンへのダメージが繰り返されているケースも考えられます。

② 合成界面活性剤

洗顔料・シャンプー・ボディソープに含まれる合成界面活性剤は、汚れや皮脂を落とす力を持ちながら、同時に角質細胞内のケラチンにも作用します。毎日繰り返し使い続けることで、ジスルフィド結合が少しずつ弱まっていきます。

「洗顔後に肌がつっぱる」「洗うたびに肌が荒れる」という方は、洗浄力が強すぎる製品がケラチンのハンモック構造を崩している可能性があります。

③ 防腐剤・合成香料

パラベン・フェノキシエタノールなどの防腐剤や合成香料も、継続的に肌に触れることで角質層にダメージを蓄積させることがあります。これらの成分が積み重なることで、ケラチンのジスルフィド結合が徐々に弱まり、ハンモック構造が崩れていきます。

④ 紫外線

紫外線はジスルフィド結合を直接破壊する作用を持っています。日焼け止めを使わずに長時間紫外線を浴びることで、ケラチンのハンモック構造へのダメージが蓄積します。

⑤ 過度な洗顔・摩擦

ゴシゴシこする洗顔や、タオルでの強い摩擦は、ケラチン繊維を物理的にほぐしてしまいます。「ていねいにケアしているのに改善しない」という場合、毎日の洗顔・拭き取りの摩擦がハンモック構造を少しずつ崩している可能性があります。

⑥ 年齢によるケラチン代謝の低下

年齢を重ねると、ケラチンを構成するアミノ酸の代謝が低下します。新しいケラチンが作られにくくなることで、ハンモック構造の修復が追いつかなくなります。「若いころは問題なかったのに、年齢とともに急に何も使えなくなった」という状態の背景にあるのが、このケラチン代謝の低下です。

ハンモック構造を取り戻すためのアプローチ

ケラチンのハンモック構造が崩れている状態では、どれだけ保湿成分を足しても水分は保持されません。必要なのは、ハンモック構造そのものを取り戻すアプローチです。

① 崩す原因を取り除く

まず取り組むべきは、ハンモック構造を崩している原因を日常のケアから取り除くことです。エタノール・合成界面活性剤・防腐剤・合成香料を含む製品を見直し、シンプルな処方のものに切り替えることが第一歩になります。

② 天然硫黄でジスルフィド結合をサポートする

ジスルフィド結合の材料となる硫黄を肌に届けることで、弱まったケラチンの網目を内側からサポートし、ハンモック構造の回復を助けることができます。

このとき重要なのが、どのような形の硫黄を届けるかです。化学的に精製された添加硫黄は刺激が強く、すでにハンモック構造が崩れている肌には負担になることがあります。複合ミネラルと一体となって自然の中に存在する天然硫黄は、ケラチンへの親和性が高く、穏やかにジスルフィド結合をサポートする性質を持っています。

ケラチンのハンモック構造を取り戻すことは、「うるおいを足すこと」とは本質的に異なります。「肌が自ら水分を抱え込み、保持できる力を回復させること」です。この力が戻ることで、同じ化粧水を使っても水分が長く続くようになり、乾燥の繰り返しが変わり始めます。

まとめ:ハンモック構造が水分保持の要

  • ケラチンのハンモック構造とは、ケラチン繊維が網目状に張り巡らされた水分保持のしくみ
  • ハンモック構造が正常に機能しているとき、角質層に届いた水分が保持されうるおいが続く
  • ジスルフィド結合がハンモックの「結び目」となり、網目の形と強度を維持している
  • エタノール・合成界面活性剤・防腐剤・紫外線・摩擦・年齢がハンモック構造を崩す主な原因
  • ハンモック構造を取り戻すには、崩す原因を取り除くことと天然硫黄でジスルフィド結合をサポートすることが有効

「保湿しても乾燥が続く」という状態が改善しないとき、問題は化粧水の保湿力ではなく、肌側のハンモック構造が崩れていることにあるかもしれません。アプローチを根本から変えることで、長年の乾燥の悩みが動き始めます。

OLIMのナチュラルローションは、北海道阿寒湖の貝化石抽出水に含まれる天然硫黄を基材とし、エタノール・合成香料・合成界面活性剤不使用のシンプルな処方です。ケラチンのジスルフィド結合をサポートし、ハンモック構造を内側から取り戻すことで、肌が本来持っている水分保持力を回復させることを大切に考えて作られています。まずはサンプルでご自身の肌で確かめてみてください。

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このブログでは、ケラチン・硫黄・フルボ酸など、肌の土台に関わる成分と科学的なしくみを、様々な角度からお伝えしていきます。

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開発者松本千賀子

株式会社スキンケアラボラトリ代表。
化粧品業界に40年携わり、延べ10万回以上の肌相談を重ねてきました。
その経験をもとに太古の海の地層から生まれたミネラルを含む水をベースに、自然由来にこだわった化粧水を開発しました。
試作品のその浸透性に興奮して夜も眠れなかったぐらいです。
お客様からも 「肌にどんどん入っていく感じがする」 「つけると肌がひんやり落ち着く」 という声をいただいています。
与えすぎない、削ぎ落とすケアを大切に、 今も自分の肌で確かめながら改良を続けています。

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